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受け流しの極意は排水管そうじ|自分のケア

2016.8.29

「私はゴミ箱じゃないんだよ!」思わず大きな声が出た。仲のよい同僚と話していたときのことだった。

飲みに行こうと誘われて、行ってみたら泥沼不倫の話を聞くことになった。
相談じゃ、なかった。
わかってなかったなぁ、相談じゃなかったのに。
どちらも知ってる人だったから、あーもこーも言っちゃったんだよね。どうやったら解決できるかを考えてた。それもよけいなお世話だったのに。
あれもこれも拒否されたあげく「私にどうしろっていうの?」とうんざりしたら、「ただ聞いてくれればいいじゃない」と返ってきた。それが、本当の正解なんだけど、当時の私にはわからなかった。
思わず口から出たのが「私はゴミ箱じゃないんだよ!」だったのだ。

talk

検索バーに『カウンセラー』と入力すると、『なり方』で調べてる人が多いことがわかる。他のデータでも、カウンセリングを受けたい人より、したい人の方が多いのを知る。
「やめとけ」と思ってた。カウンセラーなんて、食べていけないからやめとけ。
どんな仕事、個人事業主もそうであるように、カウンセラーもまたそれで食べてる人は一握り。それだってよくよく調べてみると、カウンセリングでと言うよりは本の出版や講演料、メディア出演の収入という人が多い。

と、カウンセリングで食べようとして失敗した私は言ってた。

考えが変わった。
カウンセラーになろうとする人が多いのは、いいことだ。

カウンセラーになろうとする人があげる理由・きっかけの一つに、『人から相談されることが多くて』がある。
相談だろうか? 相談と、話しをしたいこと・告白は違う。
告白は、誰かに話したいという欲求の表れ。だから、同僚がかつて言ったように、ただ聞けばいいのだ。
私も、ヒトの告白を聞くことは多かった。

私には話しやすいんだと、自慢に思ってた部分がある。
話しやすいのは、いいことかもしれないけど、話しやすさとはなんだろうか?
なんでも知って・経験してそう。なんでも聞いて・批判しないでくれそう。人がそう言ってくれるのを自慢に思ってた。相手からの信頼を得ている気でいた。
だけじゃない。

話しやすさの理由の他の側面として、私が訊いてしまうから、が、あったと思う。「それはどうしてなの?」とかね。
人は質問には答えようとするものだ。だから、ただ私を信頼して、話をしてくれた人はどのぐらいいたんだろうかと疑問に思う。

『プロカウンセラーの聴く技術』という本に、聞き流しなさい、と、ある。人の話をむやみに深めてしまってはいけない。踏み込み過ぎて、世間話を悩みごとにしてしまってはいけない、と。その意味が、今ならわかる。

器もできてないのにヒトの話を聞いてきた結果が、ゴミ箱だった。
あの頃、自分をドブのようだと感じていたのを覚えてる。ヘドロがいっぱい溜まったドブのようだと。
ヒトの話しを親身に聞くのは、いいことだ。ただし、受けて流すことができないと、しんどくなる。いったん受けとめる・受け入れるには、抱える力と、自分の反応する部分のケアとが必要。自分のケアができてないと、受けるだけで流すことができず、ヒトの話は溜まっていく。自分のなかに。
排水管のそうじのようだね。上記本のなかでは、『避雷針』に例えられている。

中学生の頃からだった。子供には重い話、大人が聞いたって重い話を聞いてきた。
今までで多かったのは、堕胎。そのほかに、殺人・レイプ・麻薬関連・ガン告知・離婚問題・実の親ではないこと・親の自殺・恋人の死・これから死ぬ宣言。
自分のことじゃないのによく泣いたし、胸が痛んだし、ばあいによってはリアルな想像に苦しんだ。
ときによっては、たぶんよけいなことしちゃったね、と、今は思う。

解決するのは、本人。聞き手は、うんうんと聞くだけでいい。基本はこれだけ。
ただ聞くって、難しいんだよ。素でできる人もいないわけじゃないけれど、たいていの人は、訓練しないとできないと思う。まして効果的に聴く、なんてことは。
だからカウンセラーになろうとして、訓練を受けるのはいいことだとオススメしたい。ちゃんとしたところなら、聴く技術や技法を学ぶだけじゃなく、自分のケアもしていくようになってると思うから。
学んだ後、収入につなげるのは難しかったとしても、自分自身のケアはできるようになっていくはず。自分自身が楽になるはずなんだよね。排水管そうじは一生役に立つ。
これこそ、ほんとの財産じゃない?

今、じょうずな聞き手が求められてると思う。時間に追われ、成果だけを要求され…心の調子を崩しやすい環境だよね。
カウンセリングの訓練を受け、聴くとはどういうことかを理解してる人が増えていってくれればいいと思ってる。そばに、じょうずに話しを聴いてもらえる人がいたら、心の調子を崩す前に立て直すチャンスも増えると思う。そういう意味で、求められてると思う。

私は、開業届してあるからカウンセラーなんだけど、カウンセリングが収入になったことはない。それでも、一生カウンセラーでありたいと望んでる。
私が一番信頼するカウンセラーは、私自身だから。