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感じ切る|子供に習う一番正しい気持ちの感じ方

2016.10.31

カウンセリングを共に学んだ講座仲間が、1歳ほどの娘さんを連れて遊びに来てくれた。彼女が言った、「子供は感じ切るから、後腐れがないんですよね」が、とても印象的だった。

人は、成長の過程で我慢を覚える。欲しいものを買ってもらえなくて、行きたい所に連れて行ってもらえなくて、したいことをさせてもらえなくて。
ごく稀に、それこそ火のついたように泣く小さな子を見かける。お母さんは大変だなと思う。人目も気になるだろう。しかし、その子は、大人にはできないようなやり方で、全力で感じ切ろうとしているのだ。

「感じ切る」とは、気持ちというエネルギーを使い切ることだ。
心理カウンセリングの場で、行われることのひとつがこれ。
相談者が話をする。カウンセラーが訊く。ばあいによっては、質問をすることで、話を深める。この過程で、相談者は当時に戻る。タイムトラベルのようなものだ。忘れていたはずの気持ちが蘇り、現在のここで再体験する。自分の気持ちを感じ直す過程で、変化が生まれる。充分に感じることができれば、怒りや悲しみや苦しみという形に固まっていたエネルギーはほぐれ、使われていく。晴天の雨|体で感じる心 に書いたのが一例だ。

誰しも、大人になっていくにつれて、子供のときに覚えた“我慢”に磨きをかける。押し殺す、抑圧する、感じなかったことにする、という形へとしがちだ。我慢した気持ちはどこへ行くのか、考えてみたことがあるだろうか? 「ストレスになる」と答える人もいるかもしれない。
以前、ぼーっとしててもサボってない!心のエネルギーの話 で、心的エネルギーの説明をした。かんたんに言えば、心はエネルギーを持っているという話だ。人が感じる“気持ち”は、エネルギーの一種だとされている。抑圧とは、気持ちというエネルギーを、無意識の領域へと閉じ込めようとすることにあたる。エネルギーは使われなければ、溜まっていく。そういう意味では、ストレスが溜まるとは、抑圧されたエネルギーのこととも言えるかもしれない。

ものすごい怒りを感じたことは、人生の中で1度くらいあるだろう。そのときの爆発的な力を覚えているだろうか? あれを、そのまま体に蓄えていたとしたら? 空気爆弾の原理と同じじゃないかな? ちょっとした刺激で爆発するようになるかもしれない。「怒りを爆発させる」という例えもある。
小さな子供なら、泣くことでもエネルギーは使われていく。その場で大泣きすることのできない大人は、どうしたらいいのか?

怒りが湧いてきたときに「今、自分は怒りを感じているのか」と気づければ、気づいことで意識化される。練習していけば、怒りを感じながら、その場での態度や言動に表さないこともできるようになっていくし、表し方を選択できるようにもなっていく。
そのあたりは、私はコレで怒りにくくなりました に書いた。これだと、日々、日常の中で少しずつ練習をしていける。こんなかんたんなことで?と、最初は私も思った。やってきて、実際に効果があった。

自分が感じた感情を、きちんと感じようとすることは、とても大切だ。私はかつて、怒りをなくそうとし、他の感情も感じられなくなった。もちろん、まったく感じなくなったわけではない。薄くなったという言い方がいいだろう。怒りを感じたくないから、よけい敏感に感じるようになり、抑圧した怒りはちょっとしたはずみで爆発するようになった。
感情だけではなく、食べ物の味も感じにくくなった。こういった変化は、時間をかけて徐々に進んでいくので、自分では気づきにくい。感情を感じるやり方を学んで、感じられるようになって初めて、これまでどれほどに感じなくなっていたかがわかる。

自分の感情を感じていくことをしてきて、とてもおもしろいなと思うのは、どうやら感情も育つものらしい。喜びや愛しさや静けさなど、自分にとって心地よいと感じられるものが、より深みを増し、豊かに感じられる。
食べ物もおいしいと感じられるし、うまく言えないのだけれど、体も変化してきている。なにより、生きていることそのものが素晴らしく思えてきた。

感じ切るまではできなかったとしても、押し殺そうとしないことは、大切だ。少しずつでも感情を感じるようにしていくと、溜めることなく有効に使えるようにもなっていくだろうし、子供のように後腐れなく、のびのびと生きていけるかもしれない。