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思わぬケガ!その時どんなことを考えた?自動思考の記録

2017.5.16

料理をする人ならば、1度ならずヒヤっとした経験があるかと思います。特に皮むき、ピーラーは事故が多いようです。
いつもしていることだから、つい注意がおろそかになってしまう。私は、包丁で手を切りました。

ここに記すのは、ケガの詳細ではありません。感応力の強い方、想像力の豊かな方は、読むのもつらいと思う。

それでも、興味を持っていただきたいことがあります。
とっさの時、どんなことを考えるか。そして、考えたことが、行動をどう制限してしまうのか。
認知行動療法的なシステムとしての、出来事という刺激 → 自動思考 → 結果としての行動、というの流れの方です。
また、サイコシンセシス(統合心理学)の立場から、知っていただきたいこともあります。
サブパーソナリティたちが、どんなふうに反応しているか。自分自身に意識的に気づくことで、どうコントロールできるか。
認知行動療法と、サイコシンセシス、ふたつの視点。ここに記すことが、具体的にご紹介できるひとつの例となればと考えました。

認知行動療法については、こちらから → 出来事や状況という “刺激” に “反応” している私たち|認知行動療法1
サイコシンセシスの サブパーソナリティについては、こちらから → サブパーソナリティ1|私の内側にいるたくさんの私
それぞれご一読いただければ幸いです。

はじめに

丸のままのキャベツの、芯を切っておこうとしてました。この角度だと危ないなと考えたのに、そのまま続けて案の定、包丁が滑りました。
瞬間「あっ!」と声が出た。溢れだす血を、3秒ぐらいは見つめていたと思います。何が起こったのか、理解できなかった。
痛みがない、というのも、非現実感を強めていました。

流れる血をどうにかしたくて、水で流しました。
止まらない。後から後から溢れ流れる血を、また2秒ぐらい見つめる。

まだ、事態を把握できてなかったんでしょう。いや、何が起こったのかはわかっているけれど、どこかで信じたくないようなかんじがありました。
人間は、思いもかけない状況を否認しようとします。脳は理解している。しかし、心が受け入れることができないのかもしれません。

私の中の小さな人格 = サブパーソナリティたちが活動を始めます。
当ブログのキャラクターたちに代表してもらって、会話の形式で進めます。これらは、私という一人の人間の、頭の中に聞こえる声、胸に去来する思いを拾ったものです。

ケガをしてからの自動思考

とりあえずも血を止めないと何もできないと考え、目についた手拭き用のタオルに手を伸ばしました。

傷に当ててもいいぐらいにキレイにゃ?
血がつくと落ちないし、捨てなきゃだけど、そのタオルでいいの?

手に取るのをためらいました。
洗濯済みのタオルをストックしてある場所を振り返り、

このタオルなら捨ててもいい。

と、思うことができ、傷におし当てることが可能になりました。

このかんじだと血が止まりそうにない…
病院!
この格好で? 着替えよう。犬をケージに入れなきゃ。

犬を呼び、ケージに入れて、動きが止まります。

タオルを外せないんじゃ、着替えられない…

時計を見上げ、夕方、6時半に近いことを確認しました。

もう開いてないかも?

歩いて2・3分の病院の、人気ない外観が目に浮かびました。

どうしよう…
でも、血が止まらない。行くだけ行ってみよう。着替えなきゃ…でも無理。
じゃ、この上にコート羽織れば?
暑いかも…ロングコートとか、変かも…

4月で、暖かい日でした。薄いとはいえ長いコート姿で、暗い道路を歩く自分の姿が頭に思い浮かびました。

…みっともない。

この考えが、私の動きを完全に止めました。

開いてなかったらそのまま帰ってこなきゃならない…

血がついたタオルを巻いたままの手を押さえながら、うろうろする自分が目に浮かびました。

主人がいてくれたら…

もう一度時計を見上げ、主人が帰宅途中なのを確認しました。
スマホを取り、テーブルに置いて、メッセージを打つ。やりにくく、左方向へのフリックがうまくいかず、3回ほど打ち直します。

この際、そんなのどうでもいいんじゃにゃい?

ここでやっと、自分のしていること、考えていることに、意識的になり始めました。

すぐに返信をもらって『消毒』の文字に、ひるみました。
消毒薬の見た目が頭に思い浮かんだだけで、強烈な激痛だろうと想像してしまったからです。
しなきゃいけないとは思ったものの、しませんでした。

後日、手当のしかたを聞いたとき、お医者さんは「水で流すのが一番いい」と言ってました。

主人の帰りを待つしかない。
急いで、と言いたくなるのを

急かしちゃいけないにゃ。

こらえました。
肌寒さを感じて、脱いだガウンを見やり

脱ぐんじゃなかった…

肩に羽織って、ソファに座りました。
ガウン、脱いだんですね。いつ、どうやって?は、もう記憶にありません。

ここまでの間、何度もタオルをめくっては、血が止まらないものかと確認してました。どこかの時点で、理由は覚えていないけれど、タオルを変えてさえいる。

時計を見上げ、主人が帰宅するまで30分はあると考えました。
できることがなくなってみると、心細さがいや増し、背中近くにパニックがいるのを感じました。そこでずっと待ってたかんじ。

ゲーム
いいね、何かに集中しちゃった方がいい。集中できる?

すぐそばまで来ているパニックを感じながら、ツイートしようかとも思ったんです。生の記録をとっておきたくて。
フォローしてくださってる方たちの反応を想像して、アプリを開いては閉じました。
Twitter以外で記録しておくことは、思いつきませんでした。これ、普段の習慣がそのまま反映されてますね。

待ち時間を埋めたい。何かしていないと、パニックに飲み込まれるとわかってました。
スマホゲームをしている途中、時計を確認しては、主人の行動を予想してました。

ケージの中で、犬がウロウロし、呼び掛けてるのが聞こえる。

いろんな鳴き方で試してるにゃのね…
アバター画像
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反応しちゃだめ。鳴き癖がついちゃう。
膝にのせたいにゃぁ…
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慰めが、欲しかった。

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いつもなら、そろそろだけど、買い物してくれてるんだから、後30分ぐらいはかかるかな…

ひたすら待っていた主人は、予想より速く帰ってきてくれました。

ポイントの解説

キャラクターたちは、それぞれに

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理性的、あるいは批判的な部分を受け持ちました。
本音やヒラメキって言われるようにゃ部分ですにゃの
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と、分けて記しました。しかしサブパーソナリティとしては、もっと出てきています。
頭の中、または心の内で、私たちはこうして会話しています。牽制したり、批判したり、相談したり。
自分の内側にいる、それぞれに役割を担ったサブパーソナリティたちに気づくようになると、なかなかに興味深いものです。
このとき、私は、後でこうして書残すつもりで自分を観察していました。なので、パニックに飲み込まれずに済んだところもあります。

改めてこうして書き出してみて、自動思考がどう自分を縛ったのかがよくわかります。
とりわけ、『みっともない』には、完全に行動を封じられていました。
当ブログでは未紹介ですが、“スキーマ”という、根深い思い込みを発見することができます。このスキーマは、日常的に私たちの行動を束縛し、ネガティブな気分に陥らせる原因のひとつでもあります。
詳しくは、またの機会にご紹介するつもりです。

さいごに

一人の人間の内側で繰り広げられているドラマのような、サブパーソナリティたちと自動思考。なんとなくでも、興味深さを感じていただけたら、幸いです。

私のばあい、ケガをしてパニックに飲み込まれることは避けられましたが、ヒステリーのような興奮状態は続きました。これは、火事場の馬鹿力にも通じるものだと考えています。
翌日になって行った病院で「縫おうか」とお医者さんに言われ、涙ぐみました。自分で決断し行動する、という頑張りはここまでと思え、安堵したかんじでした。
トップの写真は、10針ほど縫う処置を終え、会計待ちしているときに撮りました。

主人へ。すごく驚かせてしまって、その後も様々な手間や不便を強いてしまったこと、ごめんね。
「にゃんこの方が大事」と言ってもらったこと、本当にほんとうに、ただただ嬉しかった。

最後のさいごになりましたが、ツイートを見てくださって、心配し励ましてくださった方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
とても嬉しくも、ありがたかった。
ありがとうございました。

  ケガから3日目。やっと気持ちが落ち着いたときに書いたのがこちら
感じない?それとも外在化する?なら、後者を選びたい。